世界が色づき、ボクがまだここに存在していたことを思い出す。
【プロローグ】
朝が来たことを数え続けて、もう飽きてしまった。
酷く退屈で、つまらなくて、窒息しそうな時の流れ。
自分だけが置き去りになっているような感覚。
この状況を一言で表すなら、多分憂鬱。
何もかもがどうでもよくて、そろそろ窓の向こうへ飛び出してみようか、なんて考えていた。
だからその光景を見たのは本当に偶然。
興味を持ったのも偶然、なんだと思う。
けれど。
君の瞳が、そのまなざしが、脳裏に焼きついて離れない。
錆び付き、忘れかけていた"何か"を思い出しそうになる。
きっと君はいつも通り、何てことない行動をしていただけなんだろう。
けれど、だからこそ、こんなにも惹かれた。
君を中心に世界が色づく。
ああ、そうだ。
そうだった。
まだボクは、ここに"存在"している。